ネパール

山岳地域における自給のための適正技術



1. 標高1400m、カブエ郡パタレケット村にある持続可能な農業モデル農場を訪問した。段々畑の中に自 然農薬の壷、野菜の混作、土壌流失防止の池、害虫集めの照明、雑草比較畑、比較堆肥場など様々な試みが なされている。ベトナム人、ネパール人研修生と話し合うゴビンダ(右端)。彼はINSAN代表で、今回の パーマカルチャーデザインコースの講師でもある。

 

ICAネパール事務所
2. カトマンズ空港で歓迎の花飾りを贈るられたベトナム人研修生4人とICAネパールを訪 問し、活動紹介と研修のオリエンテーションを行う。

上段左よりブイとグエン、クワン(ベトナム 人研修生)、タツワ(ICAネパール代表)、下段左よりハオ(ベトナム人研修生通訳兼 コーデュネーター)、4人目北代(日本人コーデュネーター)

INSAN事務所

3. 今回の研修前半の5日間は、パーマカルチャーデザインコースである。それを主催す るINSAN事務所を訪問した。INSANは、持続可能な農業とパーマカルチャーを中心とし たネットワーク型のNGOである。

4. INSANの活動は多様で、主な活動は写真にあるような伝統的種子の資源センター作り や、ネットワークに属している農業グループの有機農産物の販売促進を行っている。他に は、現代農業と自然資源の調査、持続可能な農業研修や環境教育、書籍やポスターの発行 などが含まれる。

AAA 農場

5. 今回のパーマカルチャーデザインコース は、古都バグダプール郡のAAA農場で開催された。標高1300mの丘陵地で周囲には小 麦と採油用からし菜畑が広がる。

6. AAA農場は1988年に設立された。農場マネージャーのラメッシュ(後姿)が、研修 生に農場の歴史と農場概要を説明をする。現在は、近郊の40人の女性グループと共同 で、有機野菜やミルク加工品をカトマンズ盆地のホテルやレストランに宅配している。ま た今回のような研修の開催場所や、ゲストハウスとしても開放している。左よりギタ、ゴ メ、マヤ、シュレンドラ、ドゥルガ(ネパール人研修生)

7. 農場には育苗用の温室、灌漑用の池、液肥用の壷と堆肥小屋、乳牛小屋、香草畑やこの ようなサラダ菜とニンニクの混作畑が広がる。

パーマカルチャー デザインコ−ス

8. ベトナム人4名とネパール人研修生5名で、それぞれの自己紹介とデザインコースへ の期待点を語る。期待点としては、ネパールの適性技術、農民への技術の普及法、現代農 業から有機農業への転換過程、コスト軽減し自給度を高めることなどが上がった。

9. 「ベトナムとネパールの農業事情」

左がネパール、右がベトナムで、それぞれの 地形と主要農作物を図に描き、質疑応答する。ベトナムは、米の世界第3の輸出国であ り、農業政策により単一栽培が推進されている。ネパールは10年前は食糧を輸出してい たが、現在は食糧の10%を輸入せねばならない状況となっていることが発表された。

10.研修生の女性達が民族衣装を披露する。 左よりベトナムのアオザイ、ネパールのサリー、アオザイ、サリー、ネパールのクル タスルバル。多くの熱帯の国々では、外出する機会が制限されている女性達が伝統的 衣装を着ていることが多い。ここネパールでも、街で男性の民族衣装を見ることはま れだ。

11. 「土壌管理」

1Fの土壌には平均1000kgの有機堆肥 が必要だ。左より畑の土、牛糞堆肥、砂土で、それらに右上のHydorogen Peroxideを加えると、土壌の有機物が多いと泡がたつ。他にも土壌の色を調べたりやPHメーターを 使って、土壌の組織と構成、有機物を調べ、土壌管理に活用する。

12. 「ネパールの活動紹介」

研修生がそれぞれの地域4ケ所での活動を紹 介する。これは中部パルバット郡での「持続可能な農業の普及プロジェクト」のようす。 1986年から自給度や栄養価を高める家庭菜園や、貯蓄と貸し付けグループを始めた。 持続可能な農業は、周辺の村にも広まりつつある。

13.「ベトナムでの活動紹介」

北部で巨大ダム建設のため、低地から丘陵地 帯へ少数民族が移住させられた。丘陵地帯の段々畑に慣れていない農民のために、適性技 術を普及する5年プロジェクトを紹介している。植林や果樹栽培、養蜂、貯蓄と貸し付け グループも作り、自立への道を開いた。

パタレケットモデル農場
14. 「バスケット堆肥と育苗用温室」

隣郡カブレ郡にある持続可能な農業モデル農 場を訪問する。段々畑の中に様々な試みがなされている。手前はバスケット堆肥で、1m 程の枠の中に毎日の生ゴミや青草を積み堆肥にし、周囲に野菜を植える。奥は春野菜の育 苗用の温室。

15. 「土壌微生物を使った土作り」 

2m四方の土に20gのバクテリアを散布し、稲わらで覆い3ヶ月待つ。新しく耕起す る前に、ここで繁殖した土壌微生物入りの土を混ぜる。

16. 「自家採取用野菜」

カリフラワーをネットで覆い他の野菜と交 配しないようにし、自家採種する。他にも土壌流失防止用の池、ミミズ堆肥、牛尿集 めタンク、比較堆肥場、雑草比較畑、害虫集めの照明などが農場にある。左端ビシュ ヌ(ICAネパール通訳)

 

17. 「ベトナム文化と活動紹介」

ベトナム人研修生はベトナムの文化と活動紹 介のポスターを作り、ネパール人研修生やこのような訪問先で紹介し交流を深めた。パタ レケットモデル農場でポスターに見いる村びと達。

18. 「ネパール定食、ダルバート」

ネパ−ル人の主食は、このダルバートだ。 ご飯や雑穀(ダル)、野菜カレー炒め(タルカリ)、マメスープ(ダル)、スパイス 入り漬け物(アチャール)と生野菜少々で、毎日毎食これを食べる。これに朝には 起きがけのミルクティー、そして午後のスナックとミルクティーが加わる。

19.多神教のヒンズー教ゆえに、ネパールに は祭りが多い。雨期が明け穀物の収穫を終えた1ー2月は、結婚式シーズンでもある。こ れはシバ神の妻ソスタニ女神の祭りで、夫婦円満や結婚できるようにと祈る。1ヶ月続く 祭りの最終日の行進のようす。

20. 総合的害虫管理(IPM)

農薬の歴史、食物連鎖、害虫と益虫の関係の 図などを見ながら、総合的害虫管理をさぐる。母親が毒性の強い農薬を使用したため、 奇形の手で生まれたインドの女の子の写真を見せているのは、INSANスタッフでデザイ ンコースの講師でもあるスロチャナ。

21. 「自然農薬作り」

苦味や渋みのある薬草(インドセンダン、ヨ モギ、アスロなど)をつぶし同量の牛尿を混ぜる。蓋をして毎日撹拌すると1ヶ月後には 発酵し、自然農薬兼液肥となる。苗には20倍に希釈して使用する。

22. [参加型農村調査法(PRA)の紹介」

今回は短時間なので、社会的に抑圧されてい る人々の声を聞く方法としての参加型農村調査の歴史とプロセス、調査手法を簡単に紹介 した。真ん中に立っているのが、PRAの講師であるパニンドラ(INSANスタッフ)。調 査手法としては、社会地図、と資源地図、タイムライン、季節暦、組織の図解などがあ る。

23. 「パーマカルチャーデザイン」

みなで農場の敷地を歩き、植生、栽培植物、 地形や敷地の境などを把握する。この農場を、いかに有効かつ持続的にデザインしてい くのかがこのコースの課題だ。

24. ベトナムとネパールの2チームに分かれ、現状とパーマカルチャー的にデザインし た将来の2枚の地図を描く。夜遅くまでと早朝から取り組んで、皆のアイデアを出してい るベトナムチーム。

25. 右はベトナムチームの将来の地図。ネパールチームチームが、左側の将来の地図発 表している。改善点としては、もっと多種類の野菜栽培と果樹植樹、いくつかの小さな堆 肥小屋作り、防風林の植樹、灌漑用水路の設置などが出された。この後、ネパールパーマ カルチャーグループ(NPG)元代表であるラムから「デザインするときは、常に社会的、経 済的、環境的にどのような影響があるのかを考慮しなければならない。」というコメント があった。

サンライズ農場

26. 後半4日間は視察研修である。始めは、カトマンズ郊外のサンライズ農場訪問を訪問 した。ここは中西部にある31の持続可能な農業グループのひとつだ。主な目的は、モデ ル農場、研修の開催、伝統的種子や情報の資源センターの3点である。

27. 左側から2人目が、オーナーのシュレスタ。農場はいくつかの区画に分かれてお り、福岡式不耕起自然農法、香草と野菜の混合畑、アグロフォレストリーなどがあ る。なるべく外部から種や堆肥も持ってこずに、この農場内で環境システムを作ろう ととしている。

28. 「ネパールの野菜の種パック」

視察研修用に訪問の謝礼として、野菜の種 パックを作った。赤豆、大根とオクラ、トマト、カボチャ、からし菜とホウレン草などの 9種類の種パックだ。

29. 谷沿いと川沿いをぬいながら200kmを7時間かけて、インド国境に近いテライ 平野のチトワン郡に着いた。1988年に農場オーナーのチャンドラ(右から4人目) は、害虫増大のために悩んだ末パーマカルチャーと出会った。その後地元で農民グ ループを作り、農業研修も開催した。近所の農民も集まり、有機農法への転換の困難 点を話し合う。

30. これは採油用ヒマワリと大豆の間作畑だ。4年間自家採種している。他にも、用水 路沿いのアグロフォレストリー、牛糞からのバイオガス、混作畑や養蜂箱などが広がって いる。彼の夢はこの村をパーマカルチャー村にすることだ。

オ−ガニックショップ

31. チトワン郡の大きな街ナラヤンガートに、おそらくネパールで始めてと思われる オーガニックショップが誕生した。後述のエコロジーサービスセンターが中心となり、環 境と健康のために設立した。農業カレンダーや書籍、薬草加工品とエッセンシャルオイ ル、豆類と糖蜜などを置いている。

ランプール 農業キャンパス

32. ここはネパール唯一のランプール農業キャンパスだ。学生が有機農法の実験畑を見 せてくれる。これは「ニンジン栽培のための土壌作りと栄養価の技術」。換金作物とし て、また栄養価の高いニンジンを選び、有機肥料を投入した土壌改良と、栄養価の関係を 調べている。

33. これは「米と小麦の二毛作の持続可能な収穫高」。小さな区画を作り、有機堆肥と化 学肥料の投入量や、マルチの有無によって変わる収穫高を調査している。両方の学生とも 卒業後は地元の町に帰り、これらの実験をいかして働きたいと考えている。

エコロジカル サービスセンター

34. 季節はずれの土砂降りのためセンターに行くことはできなかったが、センター近くで 代表のバサンタ(左から2人目)に会うことができた。センタ−は1994年に、持続可 能な開発を基礎として環境と経済の関係を密接にする目的で設立された。主な活動は水資 源調査と保健衛生、地域共有林と育苗場作り、モデル農場作りである。(右から3人 目)ヘマンタ:ICAネパールコーデュネーター

デブダハ小農民有機農法グループ

35. テライ平原のデブダハ村に、2年前から94人5グループの小農民グループができ た。うち約半数は有機農業を行っており、近くの市場で価格を20%高くし、有機野菜を 販売している。貯蓄と貸し付けのグループも作った。ここでは有機農法グループのいくつ かの畑を訪問する。

36. 予定より移動に時間がかかり夕方前に着いたにもかかわらず、多くの農民が出迎えて くれた。

37. 歓迎のティカ(額に幸福の赤い色粉)をつけてもらい、マリーゴールドの花飾りもか けてもらってうれしそうなベトナム人研修生達。これからそれぞれの場所に戻り、今回の 研修で得たことを他の農民とシェアし、持続可能な農業が広まっていく機会となることを 願う。

 

 

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