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ケニア共和国・キツイ県の概要
キツイ県は、ケニア共和国の東方マチャコス県の隣に位置し、南北100km x 300kmに広がる同国最大の県であり、人口は約57万人です。キツイ県民は長年、日照りと水不足に悩まされ、山地の潅木、樹木が激減するという深刻な事態に陥っています。そのため、家庭燃料としての薪が著しく不足し、自生している天然資源としての山林が伐採され、多面積の裸地が生じています。
本件の対象地域における1平方km当たりの人口は213人であり、キツイ県のなかで、最も人口密度の高いところです。年間降雨量は550mm〜600mm、土質は砂質、砂状粘土及び粘土です。主な農産物は、トウモロコシ、ダイズ並びにインゲンマメなどがあり、換金作物としては、野菜類、綿、タバコなどがあります。
イトレカ 地域の概況
キツイ県イトレカ地域は、キツイ町から30km離れたところにあり、78平方kmの面積を有し、人口は約16,000人です。また同地域は、イトレカ小地域とカブタ小地域の2つに分かれています。さらに両小地域には29の村があり、31の活動的なグループが存在します。両小地域には、14の小学校と1つの中学校があります。
イトレカ地域には、政府が管理する衛生管理センターもあり、小中学校の各学校には、2〜3の貯水タンクが設置されています。また当地域には、カルンダ川が流れているため、各学校に1個以上の貯水タンクが建設されています。
住民の主食であるトウモロコシ栽培に必要な降雨量は、限界に近い値です。比較的降雨の多い年(長年の観測平均値;550〜600mm)と、少ない年(300〜350mm)との間には豊凶の差が大きく、住民の生活は雨季のわずかな降雨量によって大きな影響を受けています。周年、降雨量は少ないですが、雨季に相当する11〜12月における驟雨量が、1日当たり30mm以上の時もあります。
傾斜耕作地の多いこの地区では、驟雨時の土壌流亡と流去水の損失は大変大きいです。半乾燥気象の当地における乾季においては、深度60〜80cmまでの土壌水分は著しく減少しています。そのため根群の浅い農作物は生育できませんが、根群の深い樹木は1m以下の下層の土壌水分を吸収して、生育を続けることができるため、その年の雨季における少降雨量による危険性回避に焦点を合わせた、穀用作物、野菜、果樹、有用樹木などによるアグロフォレストリー体系の定着が急がれています。

プロジェクト地の概要
1999年4月、キツイ県セントラル郡イトレカ地域のブロック2村、カングーセ村、ヌグンギ村、キトンゴイニ村、ムツングゥエ村、キトニ村及びカブタ地域のイツル村、ムアーニ村、カチチカ村、イボボア村、ソーマ村、カブタ村などを含めた町村と近隣のマリク地域において、住民アセスメントを実施したところ、93%の人々が乾季の水不足を訴え、83%の人が乾燥地域における人類適応型技術指導を求めていることが明らかになりました。
また、69%が住民への収入向上プログラムを必要とし、62%が健康問題に悩み、さらに59%が乾燥気象条件下における持続的農業技術の訓練を希望しており、27%の人々が食糧確保を望んでいることが確認されました。
これらの調査結果から、とくに住民要求の高いイトレカ地域と近隣のマリク地域を選んで、2001〜2004年の3年間、国際協力機構とのパートナーシッププロジェクトを実施しました。
3年間の技術協力期間中、現地農民に対して技術指導が行われなかった村もあり、とくに現地適応型の永年性作物のうち、主としてマンゴ、パパイヤ及びパッションフルーツの選定果樹類とニーム樹などや、土壌保全並びに有機農法に効果的な植物の導入による近代的な栽培技術の確立が急がれていました。
協力事業の概要
対象地域の住民は、周年、水不足による不衛生な生活、非生産的な家畜放牧と農産物生産など、あらゆる場面において不便な境遇におかれて生存しています。ほとんどの農民は、わずかな驟雨を小さな貯水池に蓄え、庭先に植え付けた野菜や自生した果樹類を節水栽培し、それらを収集して、自給生活を送っています。対象地域においては、農作物の栽培法に関するごく普通の情報や技術すら皆無であると言っても、過言ではありません。
今回、現地の農民から要請のあった熱帯果樹類の近代的な繁殖技術を、農民に対して、直接、伝授することによって、自生あるいは栽植されている原種の果樹類から優良な奨励品種、系統に変わり、収量、品質ともに優良な果実が得られるようになります。

指導内容
1)マンゴ、パパイヤ及びパッションフルーツの近代的繁殖法
対象地域の12か村の農民に対して、マンゴ、パパイヤ及びパッションフルーツの近代的繁殖法の情報提供並びに技術移転を行いました。先進的な繁殖手法の伝授により、庭先などに自生している、あるいは植栽している劣悪な果樹類の現地種を、多産性で高品質果実を生産する品種、系統樹に変えました。
2)Aフレームによる簡易な等高線測定法
乾燥・半乾燥気候に属する対象村でも、集中豪雨をみることがあり、傾斜地畑における水の流出と土壌流亡は著しいです。現地では、雨水の貯留と土壌水分保持、さらに土壌侵食並びに肥料成分の流亡防止を目的として、斜面を等高線状に開園する、いわゆるテラス方式を採用しようとしています。そのためには等高線測定を行わなければならないので、経費のかからないAフレームによる簡易な等高線測定法を教えました。
3)天然有機忌虫資材「ニーム」の利活用法に関する資料の提供
当地域で入手可能な天然有機忌虫資材としてのニームを用いて、簡易な有機堆厩肥作りによる耕作土の改善手法及び有機資材による害虫駆除対策を確立するための資料を提供しました。
4)アレロパシー活性効果を示す植物種子の導入
アレロパシー活性効果を示すマメ科植物の種子は、下記の目的で導入されました。
A. 作物と雑草との土壌水分競合の著しい半乾燥地帯の当地域では、強烈な雑草防除効果のあるアレロパシー活性効果を示す植物種子の導入が必要。
B. 痩せ地でも生育し、とくに当地域の急傾斜地での集中豪雨による土壌侵食を、常時、抑える緑肥作物が望ましい。
C. 農民は農薬を購入する経済的なゆとりがなく、また有機農法技術を定着させるために、天然性害虫駆除効果のある植物を導入。

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