カジアド県イシニア郡における、草の根レベルの地域住民に対するキャパシティー・ビルディング教育を基盤とした有機農業教育と貯水池建設

カジアド県イシニア郡12ケ村

2006年5月1日〜6月30日(第1四半期)

2006年より、JICAの支援を受けて、ケニアの南部イシニア地区12ケ村でのキャパシティー・ビルディング・トレーニングを実施することになりました。活動は3項目、キャパシティー・ビルディング・トレーニング、貯水池建設、農業技術研修です。どの項目も、独立心の強いマサイ族には難しいのではないかと言われていますが、ICA手法を利用した参加型のトレーニングと現在のイシニア地区の深刻な干ばつ状況は、そんなマサイ族の考え方も少しずつかえてきています。

 

ケニアの首都ナイロビは、政府機関の建物が多く、高層ビルが並び近代的であるが、就職率が非常に低く月給も7,000Ksh〜と低い。首都のナイロビでも、貧富の差は激しい。1日1ドル以下の生活をしている人も多い。

 

ナイロビより車で1時間半ほど南に向かうと、イシニア郡の乾燥した大地が広がる。イシニア郡の平均雨量は年間500mlと日本の半分以下でとても乾燥している。去年は、深刻な干ばつに見舞われ、年に2回(3月、10月)の雨期も降らない日が続いた。今年は3月に多少の雨が降り、家畜のための草は少し生えた。

 

イシニア流通センター周辺の様子。乾燥した家畜の糞が混じったホコリを吸い込むため、うがいを欠かせない。7月はケニアで冬にあたり、朝晩の気温は15℃前後まで下がる。イシニアの市場の様子。現地で収穫できるジャガイモやタマネギはナイロビに比べて安いが、洋服や日用雑貨などは運送されてくるため、値段が高い。

 

イシニア地区の主食はコウモロコシ、マメ、ウガリと牛乳。町の店では炭で焼かれたヤギ肉「ニャマチョマ」も出している。その他には、トマトとタマネギのサラダ「カチュンバリ」。

 

去年の干ばつで200頭いたウシのうち150頭を失った農民もいた。深刻な水不足は、家畜にも影響している。平均月収は、約2,000Ksh。家畜(ウシ、ヤギ、ヒツジ)の飼育・売買、建設セメント運送、砂の運搬、また女性はマサイビーズ民芸品の販売などで生計を立てている。

 

イシニア郡に住む民族は、主にマサイ族(中心にはカンバ族やキクユ族もいる)。また、未だに一夫多妻制が強く残る地域で、イシニア郡イシニア地区では、50%の人が二人以上の妻を持つ。放っておかれた病気のヒツジ。農業の知識が乏しく、干ばつで失ったものは多い。家畜に頼っていた住民は、現在自分たちの土地を破格の値段で売り払い生計を立てている。

 

当事業のICAイシニアスタッフ。現地職員7名と日本人調整員の計8名体制で事業管理、運営、実施を行っている。3年前にキトゥイ県で実施したJICA事業経験者が3名含まれる。カジアド県の役所。現在カジアド県の代表はD.C. ラシッド氏である。ラシッド氏は、当事業にとても協力的で、日本でカジアド県の現状を是非伝えて欲しいと言った。

 

5月〜6月は、当事業の実施に向け、ICAジャパン日本人調整員(佐藤奈緒美)の派遣、ICAイシニア事務所の立ち上げ、資機材購入、基盤調査、地域代表者との事業実施体制構築を実施した。イシニア流通センターの一角に設けたICAイシニア事務所である。近くには、イシニア郡の役所、また地区の役場がある。郵便局、電話局はないため、18km離れたカジアド地区まで行く。

 

ICAイシニアでは、月曜日に事業会議、調整会議は毎日実施するようにしている。5月は、週単位の年間スケジュール、12ヶ村の訪問日程、キャパシティー・ビルディング・トレーニングの日程を決定した。JICAケニア事務所、JICA地球ひろば、ICAジャパンとの連絡は日本人調整員が担当し、ICAナイロビ本部との調整も週に2回実施。

  

当初日本で購入する予定だった資機材だが、見積書を取り金額を比較し、ケニアで購入した。現地職員は、週5日午前8時〜午後5時の勤務時間で働き、場合によっては残業・週末出勤も行う。

 

12ヶ村の代表者へ事業実施の説明を行っている様子。ICAは当事業の目的、成果、またトレーニングでは、女性の積極的な参加を呼びかけた。マサイ族は男性と女性が別々に座り、女性は同じ輪には入らず後ろで固まり黙って話を聞いていた。水汲み、農作業などの重労働は女性の仕事となっているため、女性のアドバイスが必要である旨を伝えた。

 

事前調査を実施している様子。12ヶ村をまわり、聞き取り調査、資料調査を実施した。村のお年寄りに水の利用について質問しているところ。

 

HIV/ AIDSの質問は、女性スタッフが行った。スワヒリ語を話さない人には、村の通訳ボランティアが説明してくれている。

 

JICAの支援で可能となったこの、マサイ族に対するキャパシティー・ビルディングは彼らの文化、社会、伝統を尊重した発展、生活改善事業として少しずつ進んでいます。今後も継続して報告させていただきます。

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