フィリピンairplaneペルー
現地技術交流プログラム

ペルー共和国リマ市、
オヨン郡コチャマルカ地区、カニェーテ州アシア谷

2007年2月5日〜14日


ICAは長年フィリピンにおける住民参加型の農林事業を行なっています。一方でペルーにおいてもICAペルーと共同で総合的な 農村開発事業を実施してきました。今回、フィリピンの現地カウンターパートのナシノ氏をペルーに招待し、現地事業を視察して 住民参加の手法とまだフィリピン事業では取り入れたことのない有機農業の実際を学びました。


 

 カニェーテ州のアシア谷において行われた住民参加型地域開発計画ワークショップを見学するナシノ氏。 このように、住民の意見は全てカードにかいて貼り出され、参加者の立場により特別な扱いを受けることはありません。 また、進行役のNGO職員の主観が入る事もないように気をつけます。調整よりも牽引していくタイプのナシノ氏には新鮮なアプローチだと思います。

 

 アスピティア村にあるICAペルーの研修施設においてペルー全国から参加してきたNGO、政府、企業の職員等を前にしてフィリピンの 植林事業の説明をするナシノ氏。また、プレゼンの後には参加者と意見を交わします。参加者には企業のいわゆるCSR部門で働く人も おり、どのように住民と協力して事業を行なうか、リラックスした雰囲気で議論をしていました。

 

 リマ市にあるICAペルーの事務所で行なわれたワークショップにも参加し、意見集約のプロセスを学び、お返しにプレゼンテーションを 披露しました。

 

 一方で、ペルーで行なう農村開発事業を視察しにアンデス山中のコチャマルカ地域を訪れました。今回は標高1,500、2,500メートルの 二つの村を訪問、事業の中心活動であるバイオダイジェスターを見せてもらいました。これはICAジャパンとペルーが共同で行なった 事業で建設されたものです。

 

 バイオダイジェスターは、有機ゴミや家畜の排泄物を利用して固体・液体肥料、バイオガスを生成します。バイオダイジェスターの発酵槽に 虫よけの成分を持つ植物を入れる事により、農薬の使用を減らす事もできます。 そのような植物の中にナシノ氏はフィリピンでも見慣れた種を見つけていました。

 

 村ではちょうどアボカドの収穫を行なっていました。ナシノ氏は収穫後の果物の取り扱いについて質問していました。近くの町で直接売る ということはフィリピンの事業地でも同じですが、商品の取り扱いはペルーの方が慎重なようです。村の人たちは商品の市場価格に合わせて 中期的に果樹種を替えています。その際にも技術的なアドバイスを提供するICAの役割を通して、ナシノ氏に住民とNGOの双方向的な役割を 見てもらいました。

 

 村で昼食がふるまわれました。メインディッシュはアンデス諸国で食されている食用モルモット。人々は普段は肉類を食べる事は余りない。 コチャマルカからリマに帰る途中、Huaral市近郊にある国立農業試験場(INIEA)を見学しました。ちょうどそこでは新たに導入された 鶏の飼料用トウモロコシの披露式典をやっていました。

 

 INIEAの式典では研究所が持つ農業技術の見本市も開かれていました。これらの技術は希望するペルー農民に対し廉価で提供されています。 ナシノ氏も職員に組織培養や家畜の改良について熱心に質問をしていました。

 

 リマ市郊外にある実験農園カサブランカを訪れました。赤いシャツの人が農園主のウリセス・モレノ氏。見学の前にモレノ氏による農園 の仕組みについて聞きました。この農園は1haと小さいものの、有機農法とアグロフォレストリーを組み合わせて自給自足(エネルギーも!) の生活を実現しています。

 

 1,000匹余りの食用モルモットが育てられる小屋。その肉はプロテインの摂取に、その糞は有機肥料の材料になります。

 

 コンポスト(堆肥)作り。生産されるコンポストは農場内で使われるほか、販売もされて現金収入となります。右の写真はコチャマルカ にもあったバイオダイジェスター。奥の方にはドラム缶を使った小規模の物も見られます。

     

 バイオガスは調理用ガスとして使われるだけでなく、発電機を利用して電気にも変換できます。トラクター用の大きなタイヤチューブ に蓄えられるガスは家族の必要を満たすのに十分。その他にもサイホンを利用した灌漑など、小さな土地で小さい技術を組み合わせて 十分暮らしていける収量を得ている様子にナシノ氏も驚いていました。

 移動を除くと一週間弱の短い期間に南北高低走り回った研修でしたが、ナシノ氏にはペルーとフィリピンという かなり違う環境でも農業技術、住民参加のアプローチ両面で学ぶことがあっただろうと思います。 これからもICAはフィリピンにおいてナシノ氏のLUCREと協力を続けますが、この研修により更に活動の幅が広がる事が期待されます。    
 

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