ペルー地震被災者支援

「チンチャ市郊外における緊急支援事業」

2007年9月18日〜12月31日

チンチャ・アルタ
被害状況

Humay

 地震発生から一ヶ月後、調査でも訪れたチンチャ・アルタにおいてシェルター設置と炊き出し所支援のプロジェクトが始まりました。都市部周辺の居住区ではアドベによって作られた家々が崩れ、被災者は冬の真っただ中、不十分な環境での避難生活を余儀なくされていました。


 被災者はありあわせの材料で作った粗末なシェルターに住み、炊き出し所は利用者の数に比べ圧倒的に調理器具が足りない状態でした。それでも人々は悲観的になることなく、自分たちにできることをやりながら、政府、外部からの支援を待っていました。


炊きだし所支援

 

 事業開始後、スタッフは緊急のニーズにこたえるため、なるべく早く炊き出し所への支援を始めるように努力しました。時には夜中に配布作業を行いましたが、その際には調査の時と同様に地元政府が警備員を付けてくれたので治安面での心配をする必要はありませんでした。

 

 かなりの頻度で地元テレビ局や新聞の取材が現場を訪れ、ICAの活動を周知させる一助になってくれましたが、放送後は私たちがカバーする地域以外からも支援を望む人々が押し寄せるのが常でした。


リーダーシップ研修

 

 シェルター事業はICAが「30x2x5」と呼んでいる方法で実施されました。これは対象地を30に区分けし、各区分けから事業実施の責任者(被災者リーダー、スペイン語ではプロモトール)を2名選び、設置の際は5家族が助け合い作業を行うというものです。あまりひねりの無い名前ですね。被災者リーダーは5日間泊まりがけの研修に参加し、ファシリテーションの基礎を学ぶとともに、シェルター設置の手順を叩き込まれました。

 

 研修後、被災者リーダーは手押し車やシャベルをはじめとするシェルター設置に使用する道具の提供を受け、各コミュニティーにおいて裨益者の選定を開始しました。1,650もの被災者家族に対処するには彼らの働きが必要不可欠です。大手のホームセンターより黄色い帽子の寄付を受けた被災者リーダーは遠くからでも簡単に見つけることができます。いつからか、黄色い帽子を見ると彼らの一人では?と顔を確認してしまうようになりました。

 

 記念すべき一つ目のシェルターの設置は被災者リーダー全員により行われました。この作業を通じ、研修で学んだことを実地で確認し、今後各コミュニティーで活動する際の注意事項を確認するのです。この最初のシェルターは地震で親を失った兄弟にプレゼントされました。


本格的な作業の開始

 

 モデルシェルターの設置の後は、各コミュニティーにおいて週あたり10家族のペースで合計300軒前後のシェルターが設置されました。被災者リーダーはその週に順番が回ってくる家族を組織し、倉庫から必要な分の資材を自分たちで雇ったトラックに乗せ持ち帰ります。このような共同作業を通じて、シェルターを手に入れるだけでなくコミュニティーとしての一体感を作り出して欲しいというのがICAの願いでした。右の写真は「我々は一つの心で結ばれている」という垂れ幕。ICAとジャパン・プラットフォームのロゴの周りに4つのコミュニティーの名前が見えます。

 
 
 

 被災者リーダーの努力により、続々とシェルターの数が増えていきます。ICAがシェルターを受け取る際に課した条件の一つに、シェルターはもともと自分の家があった敷地に設置しなければならないというものがありました。それはつまり被災者が敷地内にあるがれきを撤去し、均さなければいけないということを意味します。この条件は被災者が自分たちの手で震災の残した傷跡を目に見える形で片づけていくことに寄与しました。裨益者にはシングルマザー、高齢の夫婦など、この作業が困難な家庭も多かったのですが、5 つの家族がグループを作り助け合うことにより、社会的弱者が復興に後れを取るという事態を避けました。
 中には被災者リーダーが当初我々から求められていた以上の努力をしなければ解決できないケースもありましたが、誰一人投げ出すことなく、最後まで自分のコミットメントを全うしました。

 
 
 

 事業期間中に国勢調査が行われました(左上写真)。多くの被災者がシェルターを住居として調査を受け、シェルターのドアには支援ステッカーと並び「調査済み」を示すシールが貼られました。
 シェルターは木材と竹で作った骨組みのまわりに防寒のためのビニールを張り、その上から「エステラ」と呼ばれる細い竹を編んだマットを貼り付けたものです。大きさは全て同じで、3mx6mの18平米です。これはシングルベッドが何とか3つ入る程度の大きさです。裨益家族は様々に工夫を凝らし、電気まで引いて住み心地のよさそうな空間を作り出していました。
 この事業は別名「Casita para la Navidad(クリスマスの小さな家)」と呼ばれ、クリスマスには皆精一杯の飾りつけをしてコンテストなどを開いていました。

 

 被災者リーダーとは約2週間ごとにミーティングを開き、彼らの経験を仲間とシェアーしてもらいました。特に問題点に関しては同じような経験をした仲間からアドバイスをもらえたりと、有益な時間となったようです。
 「にっぽん(の)みなさんどもありかと チンチャ ペルー」。被災地でも日本に出稼ぎに出ていた人と出会う機会が多くありました。この日本に対する感謝の言葉は彼らの一人が作ったと思われます。

 

 左の写真の日付は2007年8月26日、震災から11日後の調査中に撮った写真です。教会横の公共スペースを雑多なシェルターが埋め尽くしています。
 右の写真は事業半ばの11月9日の様子。偶然にもほぼ同じ場所、アングルから撮られた写真です。多くの被災者が場所を引き払い、自分の敷地に移動したことがわかります。
 この事業の大きな目的は、被災者が自分の敷地の後片付けをして復興の一歩を踏み出す後押しをすることにありました。この目的が達成されつつあると、目で見て実感した瞬間です。

 今回の事業では 1,650 軒のシェルターを設置し、60 か所の炊き出し所に対し機材支援を行ないました。

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